茅葺き屋根の家  平成14年7月17日発行

茅葺き民家を守ろう:

茅舎の会総会

平成14年度は金砂郷町の県指定有形文化財・堀江家書院で7月17日開催された。総会は台風のため懸念されていましたが前の日に台風が通過し、良い天気に恵まれました。堀江家は、佐竹氏の一族筋と伝えられる旧家で、この書院には水戸藩時代は水戸光圀などの藩主が領地巡回の際に立ち寄ったといわれています。
さて総会は事務局より開催日の度々の変更に対して参加していただいた参加者にお詫びいたしまして始まりました。会議の進行は照沼会長さんに司会を委ねまして、まず会長さんより挨拶をいただきました。

左より、一色先生、照沼会長、堀江さん

照沼会長より
このこの家は私、照沼家とも親戚に当たり、総会の場所に選んでいただき有り難うございます。本年は茨城県に民家園を作ろうと言う目標を立て、活動をしていきたい。一色先生が解体して保存してある九棟の民家を茨城県の何処かに民家園を作り、茨城県内には無い3棟以上民家の有る民家園を実現したいと思っています。その活動の一端として一月にひたちなか市の「ひたち海浜公園」を一色先生に紹介しまして見てきてもらいました。5月には橋本茨城県知事に紹介してくれる人が有り、茨城県庁の知事室に予約無しに伺いました所、県知事が快く知事室に招き入れて下さり、一色先生の民家園構想を知事に話すことが出来ました。茅葺き民家はますます貴重になり、保存運動を続けていかなければなりません。これからも『茅舎の会」をよろしくお願い申し上げます。

来賓の挨拶 茨城県北で地域博物館運動をしています川上千尋先生より
 私ども活動しています地域博物館と同じように地域に根ざしています文化財に光を当てることが必要で有ります。ここにおられる一色先生の助力により私どもの文化財指定運動をしていました常陸太田市の馬場八幡神社本殿が先年、常陸太田市の文化財に指定されました。地域に有る文化財を大切にすると言うことはそこに住む人たちのココロを大切にすることだと思っています。戦国時代ここを支配しました佐竹氏が大切にした佐竹五山、高萩の花園神社、常陸太田の真弓山他、どの山にも巨樹が大切にされ、その環境が大切に保存されてきました。現代、環境問題が提起されていますがこのような巨樹が語りかける声を聞き、その歴史と保存してきた人たちのココロを伝えなければなりません。ものを大切にし、保存してきた人たちのココロが最も大切なのです。「茅舎の会」も茅葺き民家という建物を通してそのココロを大切にして下さい。

地域博物館運動
正式には聞いていないのですが地域家庭博物館といい、県北地域の農家や、商家にある倉や納屋を開放して、そこの家にある文化財を多くの人に見てもらうことと、その地域にある歴史的、伝統的な文化を改めて見直そうという運動です。この県北地方には中世の佐竹氏の時代より伝わる多くの文化財が各家庭の保存され、伝えられてきています。それが各家庭だけで伝えられて多くの人に見てもらえませんでした。多くの人に見てもらえることによって各家庭でもその価値が見直されてきています。

一色史彦先生より挨拶
昭和30年代の経済発展が進んでいたことと思うのですが住宅もどんどん新しくなっていきました。私が大学で勉強している頃、多分、東京オリンピックが開催されていた頃と思うのですが清水慶八郎という経済学者が「茅葺きの民家のある風景は文化的にも経済的に遅れている地域で有る」といったのです。この人は何を言っているのだろうと吃驚しました。その後、茨城県教育委員会より依頼されて県内の民家調査(緊急調査)をする機会を与えられました。こんなに豊かな文化を持っている茅葺き民家が時代に合わないと言って、どんどん壊されるのを見てきました。そんな時に壊される貴重な茅葺き民家を見て、個人的に解体保存をしてきました。この建物をいつか民家園として復元したいと思っています。
二宮尊徳は青木村(今の真壁郡大和村)の復興を頼まれた時に最初に村人に頼んだことは村の空き地に生い茂っている茅を刈ることでした。刈った茅を買い取ったのです。そして村人にその茅で村に有る神社や寺院の屋根を葺くことを頼んだのです。村人全員で茅を刈り、協力して屋根を葺くことにより働く喜びに気が付いたのです。その後、尊徳の指導により堰を修復し、農地も回復しました。
現代の茅葺き民家も多くの人たちの協力が必要です。参加して下さった人たちの力で民家が保存されることを願っています。

事務局より平成13年度事業報告

平成13年度総会   平成13年7月24日(火) 
           月山寺 客殿(県指定・茅葺き)
           月山寺書院他境内建築
           小山寺 本堂、鐘楼山門、三重塔

平成13年度講演   平成13年11月10日(土) 
            日塔和彦さんの講演会
            現代の茅葺き・ヨーロッパ事情
平成13年見学会   平成13年11月14日(水)  
            水海道市 坂野家(国指定・茅葺き)

平成13年度会計報告
報告書間に整わず後日会員の皆様へ郵送する事にしました。
会計報告に関しましては14年度からの会計係の黒坂さんに精査して貰うつもりです。
平成14年度の事業計画を会員の皆様から発言をいただきました。
八郷町・佐久良東雄生家の飯島いくさまより

 自分の親などが一色先生と初代会長の羽生元信さんの努力で数々の成果を成し遂げました。その後、私の親も亡くなり、椎名さんも昨年亡くなり、山本さんも代替わりして、平井さん、塙さん、中崎さんも代が替わりました。親達が一緒に廻っていた頃を知っていますのでその後、家を継いだ人がどのように感じているか全員の家に伺ってきました。みなさんの意見は集まれるような環境を作って欲しいとのことでした。平日はなかなか時間が取れないので会を土日に開催して欲しいとのことでした。

霞ヶ浦町・黒坂さんより
 これまでの茅舎の会の活動は活動不足では有りませんか。活動報告や、会計報告は役員会を開き、総会前にある程度は決めておくのが良いのではないでしょうか。それから、毎年会費を納めて参加される方とおつきあいで参加された方を分けた方が良いのではないでしょうか。事務局も「財団法人郷土文化顕彰会」に置くよりも会長さんの家に置く方が普通なのではないでしょうか。

茅葺きの保存の為の提言をされた高田さんより
 多くのことは昨年の「日塔和彦さんの講演会、現代の茅葺き・ヨーロッパ事情」を聞いて、このようなことが出来るのではないかと思ったことを書き連ねました。まだ、現実に合わないような少し青い意見ではありますが参考になればと思っています。

最近、茅葺き民家をを再生した大子町・木の文化塾の菊地均さんより
 私の預かっていました茅葺き民家が茅も痛みこのままでは壊れるような状態でありました。木の文化塾の皆さんに相談しました所、会員の中から茅を葺き直して復元しようという意見が出て、そういうことならやってみようかという結論になりました。私たちの中には誰も茅葺きの経験もないし、昔、茅を葺いてるのを見たくらいのものです。ただ、大子町にはまだ茅葺き師がいるので茅さえ集まればなんとかなると思いましたが、茅もなかなか見つかりませんでした。昨年の暮れに一色先生に相談してみました。そんな時に、ひたちなか市の柳下さんより、国営ひたち海浜公園の前に国の空き地があり、そこに茅が沢山生えているということを聞き、刈らせて貰うこととなりました。茅を刈ると言うことになると仲間も沢山集まり、車やトラックは各自持ち出しと言うことで空き地に向かいました。最初は茅の刈り方も判らず、刈り払い機で倒したものを束ねていましたが、そのうちまず手が廻るくらいの茅を立ったままに紐で束ねて、それを刈り払い機で刈れば楽なことが判り、束ねたものを次々に刈ってはトラックに乗せました。3回くらい刈って持ち帰りました。いよいよ、茅葺きになると茅師さんは専門の人に任せましたが下準備は仲間でやるしかなくなり、しかし、仲間は昼間は仕事をしているので夜にナイター設備を作り、そこで刈ってきた茅を揃えて葺き易いように準備しました。どれくらい茅が必要なのか判らなくて、葺き始めると足らなくなり、それから2回くらい刈りました。刈り方も慣れてきましたし、トラックに積み方も自動車屋さん持っているウィンチで締めるといくらでも積めることが判りました。このような経験をいたしましたのでこの次は何処でも手伝いに行きますので声をかけて下さい。

 菊地さんより貴重な体験談を聞き、参加した会員より沢山の拍手がありました。

 このあと、残り時間も少なくなり、本年度の活動計画や予算案は役員会を22日に開催して決めることになり、昼食・散会となりました。土浦方面より参加された方は帰りに那珂町役場前にある「那珂町の曲がり屋」を見学してから帰路につきました。

平成14年度「茨城茅舎の会」総会参加者名簿

照沼 信邦    茅舎の会会長
堀江 茂邦    堀江家当主
川上 千     地域文化史、植物学
一色 史彦    茅舎の会顧問
渡辺 宏     郷土史家
渡辺 ふみ    郷土史家
飯島 いく    佐久良東雄生家
 他2名
松浦 正夫     茅舎の会事務局
木村 治男     古建築研究会
沼野 茂男    古建築研究会
原田 かよこ  古建築研究会
黒坂 清子    県南文化の会、古建築研究会
中野 幸夫     古建築研究会
雑賀 清子   古建築研究会
安 敦子     古建築研究会
若泉 悦子    古建築研究会
佐川 直徳     茅葺き民家愛好家
澤田 義充    (有)澤田設計
菊池 均      木の文化塾
滝井 さとし   建築家
串田 優子    大学院生
高田 正己     BOZZ建築工房
 他2名
橋場 久子    古建築研究会
奥田 美代子  古建築研究会
飯塚 良哉    元霞ヶ浦町役場職員


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